
横濱。
この港町には、
星の数ほどの「不良」がいる。
暴走族、ギャング、半グレ。
ルーツも、信じるものも違う彼らが、
たった一つだけ
共通して守るものがある。
それは――
“境界線(ボーダーライン)”という名の
不文律だ。
鳴海 廻は、
そのどちら側にも属さない。
強くもなければ、
有名でもない。
パーカーのフードを被り、
誰の記憶にも残らないモブとして、
ただ街に溶け込んでいる。
そう、
今日までは。
いつも通りの夜。
いつも通りの湿った風。
だが、
今夜はどこかが違う。
闇の奥から、
重たい金属音が近づいてくる。
境界線が、
引き直される音がする。