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港湾連合

第6話 最後の嘘

港湾連合の倉庫は、夜になると静まり返る。 潮風と機械油の匂い。人の気配はあるが、緊張はない。 彼らは、まだ“勝った側”のつもりでいた。 その倉庫に――鳴海 廻は、たった一人で入っていった。 武器はない。仲間もいない。 あるのは、ポケットの中のスマホだけ。 「……誰だ?」 中から、声が飛ぶ。 数人の男が現れ、すぐに廻を囲んだ。 「迷子か?」 「度胸あるな、ガキ」 廻は、軽く手を上げて笑った。 「あー […]

第5話 覚悟の境界線

倉庫街から少し離れた高架下。 夜でも車の音が絶えず、街の鼓動だけが響いている場所だった。 鳴海 廻は、壁にもたれてスマホを眺めていた。 画面には、短いメッセージのやり取りが並んでいる。 噂。尾ひれ。歪められた事実。 それらが、思った以上の速度で広がっていた。 「……効きすぎですね」 独り言のように呟く。 その横で、久我 鉄平は黙って煙草に火をつけた。 赤い火が、夜に瞬く。 「あの店主、まだ意識戻ら […]

第4話 聖域の崩壊

横濱の中華街に近い裏路地に、古い中華食堂があった。 派手な看板もない。観光客も、地元の不良も、港湾連合の下っ端も。 腹が減れば、誰でも入る。 そして――この店には、ひとつだけ暗黙のルールがあった。 「店の中では、喧嘩をしない」 誰が決めたわけでもない。だが、そのルールは長い間、守られてきた。 それが、この街の“緩衝地帯”だった。 夜。 店内には、油の匂いと、ラーメンの湯気が漂っている。 カウンター […]

第3話 境界線の名前

港の倉庫街に、夜が沈んでいた。 潮の匂いと、鉄の錆びた臭いが混じる空気の中で、男たちは地面に転がっている。 誰一人、立ち上がろうとしなかった。 鳴海 廻は、その光景を数秒だけ見つめてから、視線を外した。 計算通りだった。だが、見ていられなかった。 「……終わりです」 淡々とした声だった。まるで、話し合いが一区切りついたかのように。 少し離れた場所で、久我 鉄平が拳を開く。 皮膚が裂け、関節が赤く腫 […]