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誇り

第9話 値段のつかない男

雨は、いつの間にか上がっていた。 港から少し離れた幹線道路沿い。黒塗りの高級車が、静かに路肩へ止まる。 エンジンは切られない。 それだけで、場違いな存在感があった。 久我 鉄平は、歩道橋の下で立ち止まった。 「……用件は?」 車の後部座席の窓が、音もなく下がる。 中には、スーツ姿の男。 第八話で噂に上がった、紅門の幹部だった。 「君が、久我鉄平だね」 落ち着いた声。 威圧も、感情も、そこにはない。 […]