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BORDERLINE YOKOHAMA

第10話 亡霊の正体

スマホが震えたのは、夜が一番静まる時間だった。 画面に表示された番号は、知らない。 それなのに、廻は出る前から分かっていた。 ――来た。 通話ボタンを押すと、ノイズのない、よく通る声が流れ込んでくる。 「こんばんは、鳴海 廻くん。いや……“BORDER”の亡霊、かな?」 その呼び方だけで、胸の奥が冷たく締まった。 「用件は」 廻は感情を殺して答える。 相手は一瞬、笑った。 「急ぐなよ。君の過去の話 […]

第3話 境界線の名前

港の倉庫街に、夜が沈んでいた。 潮の匂いと、鉄の錆びた臭いが混じる空気の中で、男たちは地面に転がっている。 誰一人、立ち上がろうとしなかった。 鳴海 廻は、その光景を数秒だけ見つめてから、視線を外した。 計算通りだった。だが、見ていられなかった。 「……終わりです」 淡々とした声だった。まるで、話し合いが一区切りついたかのように。 少し離れた場所で、久我 鉄平が拳を開く。 皮膚が裂け、関節が赤く腫 […]

第2話 引き金

夜の横濱は静かすぎると逆に耳障りだ 港のクレーンが止まり車の音も途切れると空気だけが残る 廻は歩きながらスマホを弄っていた 地図アプリでもメッセージでもない ただの黒い画面だ 「……来るな」 独り言のように呟いたその直後だった 背後で靴音が増えた 四ついや五つ 「おい」 軽い声若い 廻は振り返らない 「この辺 通行料いるんだけど」 廻は立ち止まりゆっくり振り返った 笑う 「え そうなんですか知らな […]