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出会い

第1話|境界線の夜

横濱の夜は、いつも湿っている。 港から流れてくる潮の匂いと、アスファルトに残った昼間の熱が混じり合って、肺の奥にまとわりつく。 この街では、強い拳を持つ者が尊敬される。 少なくとも、表向きは。 だが―― 鳴海 廻は知っていた。 本当に街を動かしているのは、拳じゃない。 噂だ。 嘘だ。 そして、人間の「信じたい」という弱さだ。 廻はパーカーのフードを目深に被り、雑踏の中を歩く。 量販店で買った、どこ […]